Boyco終了で始まるロールオーバーの全貌を解説。Vault戦略、単体ステーキング、BERAの活用法までPoL時代の最前線をわかりやすく紹介。
この記事は、Berachain公式ブログの The Great Rollover: From Boyco to Full PoL Powerを翻訳して要約したものです。
- Boyco終了に伴い、ロック資産のロールオーバーが始まった理由と全体像
- APRやBGT報酬に基づくVault戦略の違いと選び方
- 単体ステーキングを含む非Vault型の収益戦略一覧
- Claim後のBERAを活用する3つのシンプルな方法
- ロールオーバーによってPoL参加者として機能する意味と価値
10-12分
Boycoが終わった、次にすることは?
✅ Boycoからの転換 ― 「ロールオーバー」開始
Berachainの事前流動性プログラム「Boyco」は、dAppsがメインネット開始前から資金を確保できる仕組みとして設計されました。
- ユーザーはETH・BTC・ステーブルコインなどを預け入れ
- 見返りに報酬トークンや初期参加権を獲得
- 総TVLは$2.5B超、15万ウォレットが参加
Berachainが「Boyco(ボイコ)」を発表したとき、目的は明確でした。メインネット開始前に、dAppsが“腰の据わった流動性”を確保し、報酬目当てに動く渡り鳥のような、いわゆる「短期利回りだけを追いかける流動性提供者」に頼ることなく、戦略を持って始動できるように──最高のスタートダッシュを切るための仕組み。それがBoycoの狙いでした。
ユーザーはETH、wBTC、ステーブルコインなどを指定された「プレデポジットマーケット」にロックし、その見返りに初期リターンとプロジェクトへの関与の権利が付与される形となりました。結果は驚異的。わずか数週間で、100を超える市場に総額25億ドル以上のTVLが流入し、15万以上のウォレットが参加しました。
そして今、そのロックが解除されようとしています。プレデポジターたちは、BERAとLPレシートトークンを手に、新たな流動性戦略を模索するタイミングに突入します。
それが、「Boyco Rollover(ロールオーバー)」です。
🧭 ロールオーバー後の選択肢:どこに預ける?どう活用する?
預け入れた資産に応じて、以下のような選択肢があります:
- 高APRのVaultに預ける
- BGTの獲得量が多いVaultを狙う
- 安定資産運用 or ハイリスクハイリターン戦略
最初にBeraHubまたはLSTプラットフォームで自身のポジションを確認するのがおすすめです。
Boycoで何にデポジットしたかによって、ETH・BTC・ステーブル資産に対する戦略はさまざま。また、Boyco期間中にファームしたBERAも、新たなポジションに使えます。
最初の一歩として、BeraHubや各種LSTプラットフォームで自身の資産の用途を確認しましょう。
たとえば:
- APRの高いVaultに預ける?
- BGT報酬が多く流れるVaultを選ぶ?
- 安定資産重視?あるいは高リターン狙い?
ここでは、いくつか代表的なVault戦略を紹介します。
🏦 リワードVault事例(4タイプ)
ロールオーバー用のUIでは、40種類以上のVault先がリストアップされますが、ダッシュボードを一つひとつチェックするのが面倒な人のために、ここでは異なるリスク・リターン特性を持つ4つの代表的なVaultを紹介します。
中には、堅牢なBTC担保型から、HONEY全力投下のDegen系戦略まで幅広くカバーしています。
各Vaultの紹介では、以下のポイントを簡潔に説明しています:
- (a) LPトークンをどこで入手するか
- (b) 現在のAPRおよびBGTキャプチャ率
- (c) BerachainエコノミーにおいてそのVaultが果たす役割
プラットフォーム | 資産ペア | 想定APR | BGTキャプチャ | コメント | リスク度 |
Kodiak | wBERA / HONEY | 約57% | 約18.9% | チェーンの基軸資産同士のペア。スワップ収益+BribeによるBGT報酬の二重取りが可能。ILリスクはHONEYが価格安定しているため片側に寄るがPoL報酬を最大化したい人に◎。 | ★★ |
Kodiak | solvBTC.BBN / solvBTC | 約2.6% | 約1.0% | Berachainの利回り付きBTC(SolvBTC)戦略。BTCを長期保有しながら控えめなPoLリターンを得たいバリデータ参加者向け。 | ★ |
BeraHub | byUSD / HONEY | 約2.8% | 約3.2% | BYUSDはドルペッグ+利回り付きステーブル。リスクを抑えつつ安定したBGTを狙いたい人におすすめ。HONEYとの組み合わせでプール量も安定。 | ★ |
Kodiak | wETH / beraETH | 約46.9% | 約3.6% | ETHを保持しながらPoLリターンを得るバランス型戦略。ブルーチップ資産志向でボラティリティ許容度がある中級者に向く。 | ★★ |
💡 BTC/ETH/ステーブル向け:非Vault型戦略
BGTファームの流れが“回収優先の短期戦略”に偏りすぎているように感じるなら、Berachainのマネーマーケットやクレジットレイヤーを活用することで、単体ステーキングでもパッシブに利回りを得ることができます。さらに一部では、バリデータからの報酬(BGT)を受け取れるケースもあります。
プラットフォーム | 資産・戦略 | 想定APR | BGT報酬 | コメント | リスク度 |
Euler | HONEYレンディング | 20〜40% + BGT 2〜4% | あり | HONEYをそのまま貸し出すことで20〜40%の高APRを狙える。加えてバリデータへのBribeによるBGT報酬も2〜4%自動付与されるため、総合リターンが高くなる点が魅力。 | ★★★ |
Concrete | cIBTC / cIBERABTC / cIBeraUNI | 12〜22% + BGT少量 | あり | 借入ポジションをcToken化して預ける形式。完全放置よりも若干の管理が必要だが、BGT報酬も少量得られるため、手間とリターンのバランスが取れている。 | ★★ |
Yearn | dHONEY戦略 | 12〜25% | なし | dHONEYという疑似ステーブル資産をYearnが自動運用。デルタニュートラルで市場リスクを抑えつつ、ファンディングレートなどを複利で再投資してくれる戦略。 | ★ |
Kodiak | wBTC単体レンディング | 10〜25% | なし | wBTCを単体で預けて運用できる珍しいパターン。LPを組まなくても比較的高い利回りを得られ、BTCをそのまま運用したい人に適している。 | ★★ |
Dolomite | sUSDe(合成ステーブル) | 8〜15% | なし | MakerのDSRと内部の借入需要を組み合わせた合成ステーブルで、条件なしでも安定して高APRが得られる。BGTは付かないが、放置運用に最適。 | ★ |
BeraBorrow | SolvBTC / uniBTC / STONEBTC / PUMPBTC | 8〜18% | なし | BTCに連動したシンセ資産を預けることで、BTC価格の上昇を取り逃さずに金利収入を得られる。BGTは発生しないが、担保を再活用したループ戦略も可能。 | ★ |
Dolomite | ETH系LST(BeraETH / weETH) | 5〜20% | なし | ETH系のLSTを預けて安定した利回りを得る。BGTは発生しないが、デルタニュートラル戦略も取りやすく、ETHホルダーにとっては無理のない選択肢。 | ★★ |
BeraBorrow | ETH系(rsETH / BeraETH / WETH) | 6〜15% | なし | レバレッジを使わず、ETH系資産をそのまま預けて利回りを得る戦略。担保は流動的なので将来的な資金活用も柔軟。初心者にも扱いやすい構成。 | ★ |
🔧 「手持ちBERA」の活用法: BERAをどう活用する?
Boycoでファーミングしたユーザーは、Claim Allをクリックした瞬間に、BERAがウォレットに入ります。多くても少なくても、もし、本格的なリワードVaultや単体ステーキング戦略がピンとこない場合でも、BerachainにはそのBERAをシンプルに運用し続けるための3つの超簡単な方法が用意されています。
これはいわば、「LPトークンの管理」や「バリデータのブースト設定」「ダッシュボードのループ戦略」などを避け、BERAだけを扱っていたい人のための“チェーンのデフォルト設定”のようなものと考えてください。
戦略 | コメント | リスク度 |
Vaultにステーク(gBERA-iBERA / wBERA-iBERA) | APR最大150%超。IL(インパーマネントロス)リスクなしのBERAペア。BribeによるBGT報酬付きでPoL報酬を最大化したい人向け。 | ★★ |
レンディング(Dolomite / Euler) | BERAをそのまま貸し出して20〜100%の変動APR。BGTは発生しないが、シンプルな金利収入で将来的な担保活用も可能。 | ★ |
LSTに変換(gBERA / iBERA) | LST化して5〜8%のベース利回りを得つつ、流動性を維持。後からVaultやマネーマーケットに再活用しやすい柔軟な戦略。 | ★ |
🔁 ロールオーバーの仕組み:超スムーズ3ステップ
- Claimして選択肢を表示
- Claim Allで、資産と移行先がUI上に一覧表示される
- おすすめVaultを表示
- APR・BGT獲得効率順に候補を提示(Explore Allで全件閲覧可)
- ワンクリックでデポジット完了
- 必要なスワップやLP化も裏で自動実行 → 即ステークへ
🎯 ロールの意義とは?BoycoからPoLの“現役プレイヤー”へ
ロールオーバーは、ちょっと便利になる程度のアップグレードではありません。
これは、Boycoに預けていたLPたちが、“PoLのフル参加者”として本格始動する瞬間なのです。
⚡ BGT獲得が即スタート
メインネット前にロックしていたデポジットが、即日バリデータ報酬を吸収する“オンチェーンのレシートトークン”へと変化します。
もはや「エアドロップ待ちで眠らせておく資産」ではありません。
🗳 バリデータへの影響力を獲得
ステークされたレシートはそのままBGTの投票権になり、気に入ったバリデータをブーストすることで、
そのバリデータがさらに報酬(エミッション)をあなたのVaultにリダイレクトしてくれます。
つまり、自己強化型のリワードループが成立します。
🔌 DeFiとのシームレスな接続性(コンポーザビリティ)
このレシートは標準のERC-20トークンなので、以下のようなBerachainのDeFiレゴにそのまま組み込めます:
- Origamiのオートコンパウンド運用
- PendleのYT/PTマーケット
- Dolomiteのレバレッジループ
- その他、新たに増え続けるモジュール群
🏁 一言で言えば?
一度ロールすれば、あなたはもはや“プレデポジター”ではありません。
PoLガバナンスに影響を持ち、リカーシブ(再帰的)な利回り経路を駆使する、BGTメタの最前線に立つプレイヤーなのです。
👀 最適化のコツとまとめ:PoL時代の本格始動の始まりに備えよう
今回のロールオーバーは、受動的なプレデポジターの立場から、PoLを通じた能動的なBerachain参加者へと進化する大きな転換点です。
シンプルで直感的なインターフェースを通じて、ユーザーは自身の資本を:
- リワードVault
- 単体ステーキング型のレンディング市場
- あるいはBERA建てのVault
へと再配置できます。これは個々のリスク許容度や報酬志向に合わせた、柔軟な選択が可能であることを意味します。
🔄 変化に対応できる設計、それがPoL
Berachainのコンポーザブルなレシートトークンにより、参加者は市場環境やインセンティブ構造の変化に合わせて、柔軟にアロケーションを見直すことが可能です。
いまこのPoLの仕組みに参加することで、ユーザーは「資産を動かすスキル」や「ネットワーク設計を読み解く力」を実践的に身につけていくことができるのです。
📊 注視して見ておくべき指標
- BGTキャプチャ率
- バリデータの手数料スケジュール
- 各Vaultやレンディング市場のAPR水準
これらを意識してポジションを定期的に見直すことで、最適なリスク調整ポートフォリオを維持し続けることができます。
TLTR: Beras can’t read-クマでもわかるこの記事の要点 🐻
- Boycoは終了し、ロック資産はロールオーバー可能に
- Vault選びでPoL効率が大きく変わる
- BGTファーム以外にも戦略は多彩
- 手持ちBERAの“放置プレイ”も意外と強い
- ロールオーバーは、プレデポジターからPoLプレイヤーへの“進化”
- 市場や報酬構造の変化に対応できる柔軟性がPoLの肝
→ BERAやLPレシートが返却され、ユーザーは新たな戦略を選べるタイミングに突入。
→ APR・BGTキャプチャ・資産ペアごとの特性を比較し、自分に合ったVaultへ。
→ 単体ステーキング、ステーブル運用、複利戦略など、用途に応じた設計が豊富。
→ ステーキング、LST化、レンディングの3大ルートでPoLリターンを維持できる。
→ ガバナンス権、BGT報酬、モジュール連携の中心に立てるようになる。
→ APRやBGT配分を見ながら、最適なポジションを取り続ける習慣が大事。
イケてるBERAたちにはちゃんと読めなくても選択肢が用意されている!